海外の水族館で展示されているイルカのほとんどは繁殖によって生まれたイルカですが、国内の水族館で展示されているイルカは野生イルカを捕まえて展示している場合が多いのだそうです。
今回は、国内の水族館で野生イルカを展示している理由と、イルカの繁殖を成功させるための課題について見ていくことにしましょう。
イルカの繁殖を成功させるためには技術、費用、時間が不可欠
近年イルカは世界的な流れで、商業目的のために捕獲することが難しくなってきています。
2015年5月に日本動物園水族館協会が、追い込み漁によって捕獲したイルカを水族館で展示することを禁止したことにより、国内の各水族館では繁殖によるイルカの展示を行う必要がでてきました。
アメリカでは既に原則捕獲が禁止されているため人工繁殖が進み、多くの水族館が繁殖したイルカを展示しています。
それゆえ日本も繁殖へと舵を切りたいのですが、主な3つの原因により多くの水族館で繁殖をするまでに至っていません。
繁殖技術
まず、1つ目ですが繁殖技術が確立されていません。
数年前に小樽の水族館で1頭の雌が妊娠したためホルモンの値などを検査して体調の管理を続けましたが、結果的に繁殖には結び付きませんでした。
この事例からも分かるように、繁殖方法が確立されていない中で繁殖を成功させるのは大変難しいことなのです。
費用
また、2つ目は費用の問題です。
通常水族館にはショー用プールがありますが、繁殖をする場合にはこれとは別に親に過度のストレスがかからないよう出産できる親専用のプールや、産まれてきた子イルカを育てるための子イルカ専用プールが必要となります。
これには莫大な費用が必要で、多くの水族館ではその費用を捻出出来ない状況にあります。
時間
さらに、3つ目の問題点は時間がかかりすぎることです。
イルカは一度に1~2頭しか産まないほか、妊娠期間が1年と子育て期間が約2年必要です。
このため展示までにかなりの時間を要してしまうのです。
こうした大きな3つの理由によって、多くの水族館はこれまで繁殖ではなく捕獲したイルカを展示してきました。
しかし、捕獲によって展示されているイルカの多くは野生のイルカよりも寿命が短くなるとも言われており、水族館におけるイルカの在り方自体が問われるようになってきています。
寿命が短くなるとされる主原因は、本来海で生活しているイルカにとって水族館のプールのように狭い空間で生活することが非常に強いストレスとなることが挙げられます。
ということは、現在国内の水族館で展示されているイルカのほとんどが、適切な生活環境で生きているとはいえないのかもしれません。
まとめ
調べた結果、現状国内水族館でイルカの繁殖を成功させるには技術や費用、時間の面でも相当難しいことが分かりました。
しかし、野生のイルカよりも水族館で展示されているイルカの方が寿命が短くなる事実があるならば、即現在の飼育環境を改善すべきだとも思います。
確かに水族館でイルカが見られなくなるのは寂しいですが、イルカに十分な生活環境を与えられないのであればそれも仕方ないのかなと思いました。