現在、水族館にいるイルカのほとんどが追い込み漁によって捕獲されたイルカです。
ところが2015年、この行為が世界動物園水族館協会から『動物に苦痛を与える方法で捕獲した動物を水族館に展示してはならない』という倫理協定に反すると注意を受けます。
そのため、現在イルカを繁殖させようという動きが高まっています。
イルカの繁殖研究
イルカの繁殖は、様々な困難があります。
お見合い
まず、最初の入り口のお見合い。
同じプールに入れて相性をみます。
相性が良いと、一緒に泳いでお互いの身体をこすりつけ合ったり、胸びれでよしよしとしたり、手をつないだりします。
スキンシップの取り方が、まるで人間のようです。
逆に相性が良くないと、相手に興味を示さず、次の段階にいけません。
年齢の合う雄を探すことも、一頭一頭妊娠可能な時期も異なるので、短い期間でお見合いを成功させることが難しいです。
第一の難関、お見合いを成功させても、まだまだ課題があります。
出産
イルカの出産には、出来るだけ安心できる環境が必要です。
妊娠期間中は、お母さんイルカにストレスがかからないように他のイルカと水槽を分けます。
ホルモン値検査やエコー検査もして、細心の注意を払い、体調管理につとめなければなりません。
無事、出産を終えてもイルカの1歳までの生存率は50%といわれています。
原因ははっきりしていませんが、水族館も場合、野生の群れで暮らす環境と違うためではないかと考えられています。
金銭面
また、繁殖専用のプールを作るには、とてもお金が必要です。
お母さんイルカに最適な環境を提供するためにイルカショーを数か月中止すること等、水族館の金銭面でかなりの負担がかかることも課題の一つになっています。
まとめ
イルカの繁殖は、出会いから出産まで、とても人間に似ています。
周りの助けや沢山の条件が整った環境でないと、命が生まれ育ちません。
命あるものと生まれてくるものと、イルカの繁殖の中で命の尊さを実感します。