イルカは海中を速いスピードで遊泳することはあまり知られていません。
しかし、そのスピードは時速30~50kmほどであり、時には時速55kmになることもあります。
そうした高速遊泳が可能な背景にはイルカの皮膚に、水中での抵抗を受けにくくしている秘密があるようです。
その点について見ていきましょう。
水中での抵抗を受けにくいイルカの皮膚構造
イルカは尾びれを使って前進しますが、高速で泳ぐためには皮膚構造が大きく関わっています。
イルカの皮膚には弾力がありますが、皮膚の表面を擦ると黒いゴミの様なものが付着します。
これは2時間ごとに生まれ変わっているイルカの皮膚が垢になったもので、古くなった皮膚がすぐに垢となるため、体の表面には常に垢が付いている状態といえるほどです。
垢は泳いでいる間に自然にはがれたり、海底にある海藻や砂に体をこすりつけて落としたりします。
こうして皮膚の表面を常に滑らかな状態に保つことにより、イルカは水中でも高速に泳ぐことができているのです。
また、もう1つ高速遊泳できる秘密があります。
水の密度は空気の800倍もあり、水中にいるとどうしてもその抵抗を感じてしまいますが、それは水中で泳ぐと体に沿って水の乱流が発生してしまうからです。
この乱流は泳いでいる間に徐々に体の後ろに移動し、身体を引っ張る力となって前進を妨げてきます。
そのため高速で遊泳するためには、泳ぐ際にできてしまうその乱流を打ち消す必要があります。
その役割を果たすのが、皮膚の下にある海綿状組織です。
これは水の乱流が皮膚に当たると、その組織がくぼみを作ってクッションの役割を果たし、乱流を解消することができるものです。
こうしてイルカは、水中での抵抗を気にせずに泳ぐことができるのです。
まとめ
見てきた結果、イルカの皮膚は水中での抵抗を受けにくく、水中生活を快適に行える構造になっていることが分かりました。
特に皮膚が2時間で生まれ変わる構造になっているのには驚きました。
これまで見かけたイルカの表面が全て滑らかだったのも、そうした皮膚構造が関係していたのですね。
今後機会があれば、イルカの皮膚を触って垢が付かないか試してみたいです。